- 1 無くし物を減らす方法
無くし物を減らす方法
人間が物を無くす流れ
人間、どうでもいいものを無くしてもなんとも思いません。無くしたことに気づかないことも多いでしょう。何かの拍子に「あれ、俺これ持ってたはずなんだけどな」と思い返して、しばらく考えて「最近見てないから捨てたんやろうな」と思うこともしばしばあります。これも「無くし物」ですが困りません。そもそも必要のないものだったので。
困るのは必要なものが見つからないからです。
「無くし物をして困った」という言葉の中には、
①ある物がどこに置いてあるか失念している。忘れたことにすら気づいていない。(この時はまだそれは必要ではない)
②必要な時が来る
③探してもない
④約束に遅刻した/道具がないから実行できなかった(例:カッターで真っすぐ紙を切りたかったのにハサミを使うことになった)
の4つの流れが含まれています。
無くし物を防げるタイミングは、①と③です。
②の「時が来る」は自分の力だけで解決できません。時間は巻き戻せない。できたらいいけど・・・。
④は後の祭り。
つまり、どこに置いてあるか失念している→置き場所を決める。必ずそこにあると記憶に定着させる。
探してもない→探せばある。
この記事では、これらのTipsが生活に定着するようなコツを書いています。なるべく簡単に、低予算でできるようにしていますが、自己流にアレンジするのは書いてあることができてからにしてください。
発達障害者は基本的にズボラです。少し面倒なことがあるとすぐに実行しなくなります。
少し下に書いている「無くし物を減らす5つのステップ」が有効な理由は、物の総量を減らすことにあります。ADHDはどこまでいってもズボラです。使い終わった道具をその辺にポイっと放り捨てる癖があります。だから物を無くすんです。ただ、部屋が綺麗だったら無くし物を見つけるまでの時間が大幅に短くなります。辺りを見回すだけで「あった!」となります。
なぜ物を無くすのか?無くし物には4種類ある
そもそも物をなぜ無くすのでしょうか。一言で「無くし物」と言っても、4パターンに分かれると思っています。
①今(直近)使う大事なものを無くした。(例:鍵、スマホ、財布、IQOSなど買いなおせるけど高いもの)
②すぐに使う予定はない大事なものを無くした。(銀行印、パスポート、契約書、保証書等)
③今(直近)使いたいけど無くてもなんとかなるものを無くした。(ハサミで代用できるカッターナイフ、耳かき等)
④すぐに使う予定はないし無くてもなんとかなるもの、何かに使えるかなと残しておいたものを無くした。(大量にあるタイプA-Cの充電ケーブル、同じサイズの六角レンチ等)
無くし物を減らす5つのステップ
持ち物を減らす【必ず実行してください。難易度★☆☆☆☆】
ADHDは衝動買いも多く、片付けもできないのでほとんどの人が物が多い部屋で暮らしていると思います(私調べ)。
まず、「すぐに使う予定はないし無くてもなんとかなるもの」を捨ててください。大きな片付けはこの1回だけです。持っているタイプA-Cの充電ケーブルは必要ですか?マイクロBのケーブルは?その端子が付いている電子機器を持ってますか?予備の道具は必要ですか?捨てても1000円以下で買いなおせるものや、サイズの大きいものは全て捨てましょう。もちろん、床に散らばった書類やカビが生えたペットボトル、お菓子の空き袋も全部です。
大きなゴミ箱を作る【必ず実行してください。難易度★★☆☆☆】
「持ち物を減らす」を実行された方はこう思うでしょう。
「どうせまたすぐゴミで溢れかえるのに」と。ゴミが床や机に散らばるのは、ゴミ箱が機能していないからです。カッコつけて、小さいゴミ箱を部屋の目立たないところに置いてませんか?お菓子の空き袋を捨てるのに椅子から立ち上がらないといけないから、床にゴミを捨てるようになるんです。
椅子に座ったまま、手を伸ばせば届く距離に45Lのゴミ袋がそのままセットできる大きいゴミ箱を設置してください。

僕はペットボトルの飲み物をほとんど飲まないので、ゴミ箱は1つにしています。缶コーヒーをよく飲む人は缶用のゴミ箱も設置してください。
機密情報を扱う職業に就いている方は近くにシュレッダーを置いてください。「機密情報が書いてあるからシュレッダーにかけないとなぁ」と思っていると書類が山積みになります。要らないものはすぐに処分できる、ゴミ袋を括ればすぐにゴミステーションに出せる状態にしましょう。
これで部屋にある物の総量が一気に減ります。視界の見通しが良くなります。
用途別のクリアボックスを用意し、物を区分けしていく【難易度★★★☆☆】
大きな箱に置き場所が決まっていない捨てない方がいいものを入れる
大きいサイズの透明の箱(衣装ケースや収納ボックス)に置き場所が決まっていない捨てないものを全部入れていきましょう。「捨てない方がいいもの」は、いつ使うか分からないけどいつか絶対使うものです。KURE556、トルクスのネジ回し、ライターオイルなどなど、ジャンルは関係なくとりあえず全部入れておきましょう。置き場所が決まっているものはそのままでOK。設置型の家電類、ミシンや裁断機などの使う時は動かすけど無くしようのないものは置き場所が決まっていると思います。箱の中はゴチャゴチャしますが、部屋に小物が散らばらなくなります。目に見える小物が多ければ多いほど、気が散ります。
作業途中の物をひとまとめにし、デスクの上は綺麗にしておく

上の写真でいえば、床に置いてしまっていたヤフオク発送に使った封筒とポリ袋、メモに使ったA4用紙、掃除に使ったゴミ袋を入れました。これらはもう使わなくなった時(ヤフオクで売るものが無くなった時や掃除が終わった時)にあるべき場所に片づけます。
重要なことは、「作業が一段落するまであるべき場所に片づけないこと」です。綺麗な部屋と反していると思いますが、結果的に部屋が綺麗に保たれます。発達障害の人は変に合理的な部分がある故、「明日も同じ作業をするから出しっぱなしにしとこう」とデスクが散らかったまま作業を終えがちです。翌日、その状態のデスクで違うことをするから、物が散乱するんです。
日を跨いでの作業をするのであれば、その日の作業が終わり次第、大きな箱に使った物をドサッと入れておきます。デスクの上は常に綺麗にしましょう。これで「書類仕事をしないといけないけど、昨日やった簿記のテキストとノートがそのままだ・・・まずは片づけないと」という状況が一切なくなります。
毎日使うものを入れておくこともおススメします。毎日飲む薬、毎日つけている日記帳、毎日勉強する参考書を入れておくと、机の上は綺麗・物は無くさない・椅子に座ったまま作業が始められると良いことしかありません。
小さい箱に無くしたら困るものを入れる【難易度★★★★☆】
無くしたら困るものは個人によって変わりますが、代表的なものは「銀行印や通帳、キャッシュカード」「予備の鍵」「年金手帳」です。これらめったに使わないと思うので、100均で売っている小さい引き出しでOK。中身は見えないですが、「絶対ここにある」と自信を持てればいいんです。
契約書や保証書、年金手帳や税金を納めた領収書などは、大きなクリアファイルに入れておきます。ソフトウェアのシリアルナンバーが書いてある紙など、ペラいものは全て入れています。
繰り返しになりますが、箱(引き出し・ファイル)に何が入っているか把握する必要はありません。必要になった時に「保証書は全部ファイルに入れてる」「銀行関係はあの引き出しに入ってる」と確信して探し物ができることが大切です。実際、物は勝手に動かないので100%そこにあります。

よく使うものの置き場所を決め、使い終わったら必ず片づける【難易度★★★★★】
これができれば苦労はしないの代表格。軽度のADHDなら実現可能です。
簡単な物でいうと、「鍵」「ハサミ」「免許証や保険証」です。唯一、僕が実現できている物たちです。
家・バイク・車の鍵、交通系ICカード
鍵は玄関に小さなお皿を用意しましょう。蓋の付いていない小物入れでもOKです。家の中にいる時は必ず鍵をそこに置くと決めてください。「ホコリが入るから蓋付きのものにしよう」と思われるかもしれませんが絶対にやめてください。蓋を外すのが面倒になってその辺に置いておくようになります。買い物帰りに両手が塞がっていたら、蓋を開けられません。同様に引き出しタイプもNGです。
この小技の良いところは、「生活の動線にある」ところです。必ずドアのロックを開けて、鍵を手に持った状態で玄関に入ります。自分の生活動線を変えることなく取り入れられるライフハックは定着率が高い傾向にあります。他のメリットとしては「外でしか使わない無くすと絶望する物」にも応用が利くことです。車・バイクの鍵、交通系ICカード、タスポも置いておけます。

~実行するにあたってのルール~
・外で使うものしか入れない。無くすと困るもの、例えば銀行印などを入れておくとすぐに物でいっぱいになって、結局何か無くすことになります。
・入れると決めたものは絶対に入れる。「また30分後に買い物に出るから上着のポケットに入れとこ」と思うと無くします。我々のポケットはブラックホールで四次元です。
ハサミやカッターナイフを含めた文房具
ハサミは大き目の透明なペン立てをデスクに用意し、そこに必ず入れましょう。作業の途中で離席するときも、ペンやハサミなどの文房具は必ずペン立てに戻してください。またペン立ては中身が見える網状のものかプラスチックの透明なものにしてください。ADHDは不注意や集中力の欠如から物を探すことも不得意です。視認性のよいものを使ってください。

免許証や保険証、身分証明書
3つの中で最も実行難易度が低いものが「免許証や保険証」です。必ず財布の中にしまっておきましょう。私だけかもしれませんが、「スマホ」と「財布」は絶対に無くさないことに気づきました。理由は頻繁に使うものだからかなと。しょっちゅう使うものなので、ずっと手元の近くに置いてあります。ADHDは注意が散漫=いろんなものに興味が沸いては消える=時間当たりの興味を持つ回数が多いものは無くさない、のではないかと思います。

【まとめ】部屋を綺麗に保つことが無くし物を減らすコツ。とりあえずゴミ箱をデカくせよ!
無くし物が多いのは、ゴミの山に隠れてしまうから。ゴミの山ができるのは、ゴミ箱が小さく手の届く範囲にないから。無くし物に怯えているのは、定位置がないから。
すぐに実行しましょう。部屋が綺麗だと、気持ちもすっきりします。